Short Story

□闇華
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おれは、闇にいないと意味がない。

闇でしか輝けないのなら、もういっそ、深い深い闇の奥へ堕ちようか。


そう言おうとした時に、後ろから抱きしめられた。


「晋助、闇に堕ちたって、そこには誰もいねぇぞ」





――――そんなこと、わかってた。

でも俺は、明るいところでは輝けないんだよ。

きれいな銀髪に指を通しながら、光にあたってキラキラ光る銀色が、羨ましいと思った。

いや、今も輝いてるとこを見るとこの銀色は、明るいところでも闇の中でも同じように輝くらしい。



「……綺麗だな。」

「そーか?」

銀時を見ると、嬉しそうに目を細めている。

「それに、銀時って名前も…いい名前。綺麗。」

「あぁ、先生が付けてくれたんだからな。」



「この紅い目も、好き。」

「……ありがとう」

今度は照れたように、したを向きながら言った。

何だかとても――銀時の全てが愛おしく感じた。

そしてそれを、伝えたくなった。

「……晋助。」


抱きしめる力が強くなる。

「な、に?」








「好きだ。」





抱きしめる力が、さらに強くなった。


「晋助がっ、これ以上闇に堕ちないように、俺が受け止めるから、そばにいてくれ。
お前は、周りの為なんかに輝かなくていい、俺のためだけに、輝いててよ。」

俺も、俺も銀時が好きだ。

でも、でも…
「俺らは、的同士だろ…?」

「もういいだろ。」

「でも俺は決めたことを曲げるつもりは――」

「知ってる。だから、お前が馬鹿したらまた止めに行く。
それ以外は、――俺といる時は高杉晋助として会って?」

「俺、男だけどいいのか?」

「関係ない。」

「狗に追われてるけど、」

「知ってる」

「俺――」

「好きだ、愛してる。晋助」







「―――俺も、愛し、てる」




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