Short Story

□愛輪廻
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時は平成。
江戸も、随分と変わった。
いつの間にか天人もいねぇし、あのでっかいターミナルも無くなってる。



変わってないことと言えば、あの時代にいた奴らが、今もそばにいるということ。
神楽や新八、土方沖田近藤もいるし、ヅラや辰馬、お妙、お登勢、もちろん、晋助も。
俺は国語の教師やってる。

大好きな奴らがいて、みんな笑って仲がいい。

まさに、理想の世界。
晋助と話した、素晴らしい世界。




















ただ一つ、気に入らないのは―――



















「なぁ銀八、どうしたんだよ?」


















こいつが、



















覚えていないということ。



















「あぁ、お前後で国語準備室に来いよ〜」

いつものやる気のない声で言う。

「あぁ?俺ァ赤点なんざとってねーぜ?」

「話しがあんだよ。」

なぜか一瞬、死んだ魚の目が真剣に高杉を捉えた。

「……わかった」

本気だと感じた高杉はすぐに行くことを伝えた。


「かばん持ってこいよ。」

「あ?あぁ。」

かばん?
どっか行くのか?
まぁいい、なんか急用らしいしな。


手早く帰りの用意を済ませ、銀八のいる国語科準備室に向かった。

「おぉ〜、晋ちゃん、来たね。」

「晋ちゃん言うな。」

「よし、じゃあ行こうか。」

「いや、どこにだよ。」

「いーからいーから。」

スクーターにニケツするように言われ、ヘルメットを渡された。
ヘルメットをかぶり、銀八につかまる。

「しゅっぱーつvV」

スクーターに乗りながら、変なことを考えていた。

銀八の近くは、なぜか安心する。
それに何だ?
胸がドキドキして、苦しい。








☆★☆★☆★☆★



どうしたらいいのかなんて、わからなかった。
とりあえず、あそこに連れて行きたかった。

二人の最期の場所、松陽先生のいるところ。

そこに行けば、何か変わる気がした。



思い出したら、何て言おう。
おかえり、と言おうか。
久しぶり、にしようか。
とにかく、思い出してくれ。







「はい、降りて〜。」

「着いた…のか。」

「うん、ちょい歩くよ〜」












あ、見えてきたよ。


思い出の場所が。










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