ぼくもの書庫

□幸福な日常
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 やわらかな日差しが降り注ぎ穏やかな風が流れるこの心地良い朝。
少し身体を起こせばふんわりと優しい香りが僕を包む。

良い香りのする方へ顔を向ければ台所で朝ご飯を作る愛しい彼女の後ろ姿があって。

「おはよう、クレア」

「あ、おはようシュタイナー、もうすぐご飯出来るから顔洗ってきなよ。」

いつものこの日常。
幸せな、幸せなこの一時。

この幸せがずっと、ずっと続けばいい、そう思ってた。


でも


幸せな一時は急展開に終わりを告げるだなんて、この時の僕は思いもしなかったんだ。

顔を洗う為に洗面所に入ると台所の方からガタン、と何かが倒れる音がした。
気になって覗くとクレアが真っ青な顔でうずくまっていた。

「ク、クレアッ?!どうしたんだいっ!?」

「うぅ…き、きもち、わるっ…い…」

真っ青なクレアを見て僕はどうしたらいいかわからない。
ただ、ただクレアを失いなくない。
その一身で僕はクレアを病院に連れて行った。
朝早くに来た事もあり、病院に着いてすぐにクレアを診てもらう事が出来た


1時間くらい経った頃、結果が出たらしく、僕とクレアはバドックさんに呼ばれた。
「あ、あの、クレアはどうなんですか?どこか…悪いんですか?」

居ても立っても入れなくて単刀直入に僕が聞けばバドックさんはぽかん、とした顔をした後すぐに笑った気がした。

「大丈夫、クレアはどこも悪くない。だからとりあえず肩の力を抜け?」

「は、はい…。
で、それでクレアに何が起こってるんですか?」

悪くないのならなんだって言うんだろう?
あんなに真っ青な顔で…

「おめでとう、おめでただ」
「へ?」

「おめでた、お前さんとクレアの赤子が腹に宿ったんだよ」

「じゃ、じゃあアレって…」

「そう、アレは悪阻だ、自覚するともっと酷くなるからな、お前さんも覚悟しておくといい。」

まさか…まさか、クレアと僕に赤ちゃんが出来るだなんて…
こんな幸せなコトがあるだろうか?
二人で幸せな朝を迎え、たわいない会話を繰り返す幸せな日々。
そんな日々に終わりを告げたのは二人から三人になる、と言う幸せな終わり。

幸せだ、なんて何回言っても足りないくらい。

ありがとう、

本当にありがとう。



            fin.
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