アリス書庫
□恋は落ちた方が負け?
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一人で寝るには広すぎるベットの片隅でアリスは腰掛け蝋燭を頼りに読書をしていた。
読書をしている、といってもさっきからまったく進んでいない。
時間帯は夜、外には月が出ていて少し風が出ているのか外の木々が微かに揺れている、普段のアリスは夜の時間帯には寝る週間があり、今回の時間帯も仮眠を取るつもりだった。
が、休憩に入る前に同僚…もとい、恋人ごっこという遊びに終わりを告げ、想いを通わせた恋人から耳打ちされた言葉を思い出す。
「もうすぐ俺も休憩なんだ…だから…一緒に過ごさないか?」
彼は恋人になってから柔らかく笑うようになっていた、ごっこ中でも優しく笑いかけてくれてはいたが…やはり、どこか気を許してくれている。と自惚れさせてくれる程なのだ。
時に、鋭く光る金色な瞳…どこか肉食獣を感じさせる彼の柔らかくはにかむ笑顔を思い出すとアリスの体温を上昇させた。
(恋って…落ちた方が負けって言うけど…ほんとね…)
そんな事を思いながらアリスは夜風に当たろうと窓辺に移り窓を開けた
夜風は生温くアリスの頬を優しく撫でるように掠めていくのがくすぐったい。
(まだ…終わらないのかな…)
待つのは嫌いではない、でも夜は
どこか寂しく自分が小さな人間だ、と思い知らされるような気がする。
暗い思考へ耽りそうになったその時、
「コンコンッ」
ドアがノックされる音が聞こえアリスの心臓が高鳴る。
アリスは高鳴る気持ちを抑えつつドアへ向かう。
ドアを開ける前に身なりを整えチェックをしてから開けるともちろんいるのは彼。
「遅くなってすまない…少しナイトメア様が駄々をこねて、な」
申し訳なさそうにしている彼を部屋に入れるとドアが閉まる音と同時に抱きしめられる。
煙草の苦い匂いに幸せを感じ胸がいっぱいになるアリスであった。
fin.