連載
□×は○
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新緑の季節。俺は今、白煙たちこめる温泉街に来ている。
車の助手席には付き合って3ヶ月になる恋人、輝(ひかる)。そして後部席には親友の修也(しゅうや)が座っている。
「なぁ、晴(はる)。宿ってあそこじゃねぇ!?」
輝が、運転する俺の肩を右手で叩きながら、片方の手では旅館を指差して嬉しそうに言ってきた。
「おッ、さすがピカル♪」
わざと、輝と二人きりの時にふざけて言う呼び名で呼んでやる。
後ろに座っている修也がどんな顔をしているか見れないのが残念だが。
そもそも、なんでこの3人で旅行になんて来たのか皆も不思議に思ってるでしょ。
せっかくの恋人との温泉旅行に、なんで友人ひとりを誘ってるんだって。
俺だって不思議だよ……………………輝と修也が浮気してるなんて。