〜プロローグ・第1話〜
□第4節
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翌昼。
コンコン、
「あ、誰か来たみたい」
「……ひょっとして、昨日の人?」
ウィンリイ、アルフォンス、エドワードが顔を見合わせる。ピナコは今外出中だった。
「私、出てくるね」
「……ああ」
ウィンリイがドア玄関に向かい、恐る恐るドアを開けた。そこには、
「やあ、こんにちわ」
銀髪碧眼の青年が立っていた。
「……こんにちは、リュウさん……」
ウィンリイは複雑な表情で応えた。
「名前、覚えてくれたんだ」
リュウは満面の笑みで言った。
「昨日のを、やるの?」
「うん、それもあるけどね」
「……?」
「それじゃ、お邪魔します」
リュウはスタスタと奥へ進んだ。
「…………」
エドワードとアルフォンスがリュウをじっと見た。
(不審に思われてるのかな……まあ、いいけど)
思い、エドワードの傍にしゃがんだ。
「じゃ、始めるよ」
昨日と同様に右手を翳し、やがて光がエドワードを包んだ。
「…………」
二人はやはり黙っている。
(錬金術について大体はわかったけど……やっぱ論理的な術なんだよな。ということは、それを扱う錬金術師というのも、論理的になるよなあ……)
などと考えているうちに、光はやがて消えていった。
「はい、今日の分は終わり」
「…………」
エドワードは相変わらず黙っている。
「(人体錬成について探ろうと思ったけど……今はまだ無理そうだな。)それじゃ、これで失礼するよ。調べたいことができたしね」
「……調べたいこと?」
ようやくアルフォンスが口を開いた。
「うん。錬金術について、ね」
「…………」
三人ともリュウの顔を見たが、何も言いそうにないためリュウは踵を返してロックベル家を出て行った。
「……やっぱり、嘘をつくような人じゃない」
ウィンリイが呟くように言った。
「だって、とても優しい眼でエドのこと見てるもん」
「…………」
しばらく、沈黙が続いた。