〜第3話〜

□第3節
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中央司令部の地下に、1匹の黒猫が忍び込んだ。
言わずもがな、リュウである。

ところでどうして猫なのかと言うと、猫は小回りが利くためいろいろ便利なのである。そして黒色なのは、いかにも忍というイメージがあるから…というわけではなく、単にこの地下が薄暗く、目立たないようにするためである。

こんなことを説明している間に、リュウはあの大きな扉の前に辿り着いた。その向こう側には、やはり大勢の魂が一箇所に集まっているような気配を感じる。

(これも錬金術なのだろうか…)

それにしても、何故たくさんの魂がひとつの身体に入っているのだろうか。
何やら嫌な予感がし始めたところに、中から話し声が聞こえてきた。

「そろそろ、人柱を探さないとな」
「1人はもう決定しているから…あと4人」
(人柱…?)
「でもさぁ〜、禁忌だとわかっててわざわざ人体錬成をする馬鹿がいるの?」
(!…人体錬成、だと…!?)
「いざ大切な人が死んだとなれば、禁忌を犯してでも甦らせたいと願う。それが人間というものだ。それに、人数がそろわなくとも…最終手段はある」
(じゃあ、ひょっとして…エドワードとアルフォンスは人柱とかいうやつなのか?でも、人柱って何だ?)
「…お前たち、頼んだぞ」
(お…っと)

リュウは扉に身体を同化させた。

やがて扉が開き、あの男の子(プライド)と他に女性が1人、男か女かよくわからない長髪が1人、丸々に太った男(?)が出てきた。プライドと同様、他の3人(?)からも沢山の魂を感じる。4人(?)はそれぞれどこかへ向かった。

(…人体錬成をした者が“人柱”、なのだろうな。今の会話では…しかし何なんだ?人柱…人の、柱…ん、そういや…1人は決まっているからあと4人、とか言ってたな。ということは5人必要ということか。…5…5…柱っていうんなら、5角形に並べた方がすっきりに見えるな。しかしわからん…)

リュウは考えこんでいたが、現時点ではまだわからない。

(今日は、とりあえず…)

兄弟のもとへ行こう。





「彼」は、いつのまにか寝ている猫の気配をこれから向かう先に感じ取った。

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