〜第3話〜

□第4節
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リゼンブールのロックベル宅に、

「こんにちは」

1人の青年…リュウが訪れた。

彼を出迎えたピナコは、内心複雑な思いで応対した。

「ああ、いらっしゃい」

リュウは目的の少年、エドワードの気配を感じ取った。…2階にいるようだ。

「エドワードは2階ですね、お邪魔します」

リュウが早速向かおうとすると、

「…あ、ちょっとお待ち!」
「…?」

ピナコが彼を呼び止めた。

「何ですか?」
「今丁度ごはんができたところだから…食べてからにしたらどうだい」
「…え…」

思いがけない言葉に、リュウは一瞬戸惑った。

「…いえ、いいですよそんな。折角の楽しいひと時なのに、俺がいたら気まずいでしょう?俺のこと…」

リュウは言うか言うまいか悩んだが、静かに口にした。

「俺のこと…特にあの兄弟は、疑っているでしょうから…」
「………」

しばらく、2人の間に沈黙が流れた。
と、そこへ、

「ばっちゃん、ごはんできた?」

子供たちが降りてきた。エドワードは、車椅子ごとアルフォンスに抱えられている。

「…あ…」
「………」

リュウの姿を見つけた瞬間、彼らの動きが止まった。
お互いに次の行動を待っているかのように、無言のまま立っていた。

(…ど、どうしよう…やっぱ気まずい。よし、今はとりあえず引き下がろう)

リュウがそう思った刹那、ピナコが子供たちに向かって言った。

「…今、リュウに一緒にごはんを食べようって言ってたとこだよ。お前たち、いいだろ?」

その言葉に、リュウも子供たちも「えっ」と無意識にこぼした。

「い…いや、ほんとにお構いなく…」

リュウはなんとかこの場を離れようとした…が、

「…うん、いいよ」

ウィンリイの言葉により、それは留められた。

「ね?」

ウィンリイは、横にいる2人に確認した。

「…うん」
「ああ」
「………」

これでもう断らざるを得なくなった。
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