〜第6話〜

□第3節
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一方リュウは、隣国へ渡り「負の原因」がないか調べまわっていた。

(この国の場合は、社会原因だな)

社会原因とは、貧富の差や犯罪など、主に社会情勢が生み出す「負の原因」のことである。
今リュウがいる国では、犯罪が多発しているようだ。

(社会原因はなかなか消えないんだよなー…。少しでも減らせればいいんだけど…)

思いつつ、リュウはとある1軒の建物の屋上に座った。手には、スケッチブックと絵の具道具が抱えられている。

(土産…何がいいかいろいろ考えたけど、コレでいいかな?)

そう考えている間にも、画用紙に街並がどんどん描かれていく。
エドワードたちに、土産として自分が描いた絵を贈ろうというのである。

(食べ物じゃあアルフォンスが食べられないし、あんまり物ばっか買ってもかさばるだけだし)

そして、あっという間に1枚の絵が完成した。
中心に国のシンボルである建造物が描かれている。
そして早々に2枚目に取り掛かり、エドワードたちがいるアメストリス国にはないようなものを描いていった。

(…よし、できた。とりあえずこれでよし…)

魔法を使えば、絵を描くことなど一瞬で終わる。だがそれでは、心がこもっていないようにも思える。
見る者からすれば、それがどのように描かれたかはわからない。それでも、自分の手で時間をかけて、気持ちを込めて描きたい。

(さて、土産も用意できたし)

リュウはスケッチブックと絵の具道具を消した(自分の中に取り込んだ)。

そして鳥に姿を変え、

「次の国へ行くか」

さらに隣国へと飛び立った。


日暮れまでにはまだ時間があり、朝から働いている人々が「そろそろ帰ろうか」と腰をあげ始めた頃。

優しい風が吹き渡り、空を、大地を、静かに通り過ぎていく。






生徒Bは悩んで悩んでグラタンを昼食に選んだのに、家に帰ると晩飯もグラタンであることが発覚して落胆した。

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