〜第8話〜
□第4節
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リュウはエドワードの意識の中から脱し、もといた部屋に戻った。
窓の外を見ると空はまだ暗く、淡い月明かりが差し込んでくる。
(…やはり、人体錬成をして身体を失ったのか…)
今見た過去を振り返り、あれは、あまりに残酷だと思った。
もう1度母に会いたくて、一生懸命やってきたのに…目に映ったのは、人間のようで人間じゃないような生き物で。
幼い子供が見るには地獄だと思った。
それから、知った。
(あの真っ白な世界へ行くには、錬金術を使わないと駄目だな…)
「世界の傍観者」は、1つの世界にある別の世界には、自分の力だけで行くことができない。
つまりリュウは、誰かが人体錬成をしない限り、兄弟の身体があるあの世界へ行くことができないのである。
(どうしても取り戻す方法が見つからない時は、俺が何とかしようと思ったが…それも無理そうだな)
完全に治るまで付き合う、というのは出来ないかもな…と肩をすくめた。