〜プロローグ・第1話〜
□第2節
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「なん、なんだ……?」
「…………」
彼らは、目の前の出来事をやはり理解できていなかった。
「エド、身体の調子に変化はあったかい」
ピナコが静かに訊ねた。
「ええと……」
エドワードは、恐る恐る身体を動かしてみた。
「っつう……相変わらずだよ。でも、ちょっと慣れたというか……」
「じゃあ、さっきのが効いてるってこと?」
リュウが来てから一度も喋っていないウィンリイが、ようやく口を開いた。
「錬金術じゃ、ないの?」
「あの光は、錬成反応とは違うものだった」
エドワードは難しい顔をしている。
「でも、魔法なんてあるわけないよ」
アルフォンスもきっぱり言い切っている。
彼らにとって、魔法というものは単なる空想の産物でしかない。
「でも、あのリュウって人……嘘をついてるようには見えなかったよ」
ウィンリイが、世界の常識とリュウのどちらを信用していいかわからない様子で呟いた。
「…………」
その言葉に反論する者はいなかった。恐らく他の三人も、同じことを思っていたのだろう。
「考えても、しょうがない。俺はリハビリを続ける」
「そうだね……でも兄さん、あまり無茶しないでね」
「……わかったよ」
誰もが疑問を抱えたまま、リハビリを再開した。
どこかで、鳥の鳴き声がきこえた。