novel

□短編T
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ナギとハヤテは千桜が出ている間、食事を続けた。


「なあハヤテ、どうすればあいつに勝てると思う?」


「え?千桜さんですか?」


「そう。ゲーム強者なあいつに勝つには何か秘策がいると思うんだが、何かいい方法はないかな」


珍しく対戦ゲームの助言をハヤテに求めるナギ。


こういう場合、普通は独力でかかる彼女なのだが、今回は相手がハヤテではなく千桜である。


なので今回は気がねなく彼から知恵を拝借しようというのだ。


ゲーム強者の千桜が相手というのもあり、助言をもらうにこしたことはない。


「うーん、そうですねえ……」


ハヤテは思案顔でしばらく目を閉じて攻略法を考えた。


そして10秒ほどしてから、彼は何かひらめいたように目を開ける。


「そうだ、ではこういうのはどうでしょう」


「おお、何か名案を思いついたのだな」


「ええ」


ハヤテは人差し指を立てて言った。


「縛りプレイというのをやってみませんか」


「何?」


ナギは一瞬キョトンとする。


そして少ししてからたじろいだ。


「し、縛りプレイ!?」


「ええ」


「そ、それはどういう意味なのだ!?」


彼女はハヤテが言った言葉を間違った方向に解釈した。


「お、お前、それは……! ちょ、ま、それはダメだ、ダメだぞハヤテ!//」


「はい?」


ハヤテは急にあわてだしたナギに首を傾げる。


「お嬢様…?どうしたんですか?」


「お前、その、縛りプレイって……//」


「ええ。ゲーム対戦での縛りプレイですよ」


「へ…?…ゲ、ゲーム対戦での……?」


「そうです。ゲーム対戦においての縛りプレイですから、プレイヤーがゲームをプレイする際に特定の制限を課すんです」


ここで言う縛りプレイとはゲームにおいてのやり込み要素のこと。


特定の制限をかけてゲームを行うことを指す。


「例えば超必殺技を使用禁止にするとか、ガード一切禁止とか、攻撃方法はパンチとキックだけにするとか、使い勝手の悪いキャラでしかプレイを認めないとか……まあそういった縛りをかけてゲームをすることを縛りプレイと言うんです」


「な、なるほど、そっちの縛りプレイのことか」


安心したようにナギが肩を降ろして脱力する。


「どうしたんですか?」


「いや、いい……何でもない。……私の勘違いだ」


「はあ……」


手を額にあて、首を左右に振るナギ。


彼女は己のバカさ加減を憂いた。





そうこうしているうちに、千桜が扉を閉めて戻って来た。


「あ、千桜さん。お客さんは?」


「ああ、ただの新聞勧誘だったから適当に理由つけて返してやったよ」


「何だ、ただの悪徳セールスか」


「お嬢様、新聞勧誘は何も全てが悪徳セールスというわけではありませんよ……」


ナギに少し呆れ顔で突っ込む執事


「すみません千桜さん、手間をかけさせてしまって」


「いや、いいよ。どうせ後で料理を教えてもらうし」


ハヤテに笑いかけると千桜はスプーンを手に取って食事に戻った。
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