novel
□短編T
2ページ/25ページ
ナギとハヤテは千桜が出ている間、食事を続けた。
「なあハヤテ、どうすればあいつに勝てると思う?」
「え?千桜さんですか?」
「そう。ゲーム強者なあいつに勝つには何か秘策がいると思うんだが、何かいい方法はないかな」
珍しく対戦ゲームの助言をハヤテに求めるナギ。
こういう場合、普通は独力でかかる彼女なのだが、今回は相手がハヤテではなく千桜である。
なので今回は気がねなく彼から知恵を拝借しようというのだ。
ゲーム強者の千桜が相手というのもあり、助言をもらうにこしたことはない。
「うーん、そうですねえ……」
ハヤテは思案顔でしばらく目を閉じて攻略法を考えた。
そして10秒ほどしてから、彼は何かひらめいたように目を開ける。
「そうだ、ではこういうのはどうでしょう」
「おお、何か名案を思いついたのだな」
「ええ」
ハヤテは人差し指を立てて言った。
「縛りプレイというのをやってみませんか」
「何?」
ナギは一瞬キョトンとする。
そして少ししてからたじろいだ。
「し、縛りプレイ!?」
「ええ」
「そ、それはどういう意味なのだ!?」
彼女はハヤテが言った言葉を間違った方向に解釈した。
「お、お前、それは……! ちょ、ま、それはダメだ、ダメだぞハヤテ!//」
「はい?」
ハヤテは急にあわてだしたナギに首を傾げる。
「お嬢様…?どうしたんですか?」
「お前、その、縛りプレイって……//」
「ええ。ゲーム対戦での縛りプレイですよ」
「へ…?…ゲ、ゲーム対戦での……?」
「そうです。ゲーム対戦においての縛りプレイですから、プレイヤーがゲームをプレイする際に特定の制限を課すんです」
ここで言う縛りプレイとはゲームにおいてのやり込み要素のこと。
特定の制限をかけてゲームを行うことを指す。
「例えば超必殺技を使用禁止にするとか、ガード一切禁止とか、攻撃方法はパンチとキックだけにするとか、使い勝手の悪いキャラでしかプレイを認めないとか……まあそういった縛りをかけてゲームをすることを縛りプレイと言うんです」
「な、なるほど、そっちの縛りプレイのことか」
安心したようにナギが肩を降ろして脱力する。
「どうしたんですか?」
「いや、いい……何でもない。……私の勘違いだ」
「はあ……」
手を額にあて、首を左右に振るナギ。
彼女は己のバカさ加減を憂いた。
そうこうしているうちに、千桜が扉を閉めて戻って来た。
「あ、千桜さん。お客さんは?」
「ああ、ただの新聞勧誘だったから適当に理由つけて返してやったよ」
「何だ、ただの悪徳セールスか」
「お嬢様、新聞勧誘は何も全てが悪徳セールスというわけではありませんよ……」
ナギに少し呆れ顔で突っ込む執事
「すみません千桜さん、手間をかけさせてしまって」
「いや、いいよ。どうせ後で料理を教えてもらうし」
ハヤテに笑いかけると千桜はスプーンを手に取って食事に戻った。