novel

□1章 第3話
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ここは西の大陸と呼ばれる大陸の東にある小さな港町ルジール

この町の港で1艘の帆船が帆を降ろしていた





「いやぁ無事に着けてよかった」


船から大地に降りた大柄な男は両腕を伸ばしながらそう言った


「船長」


どうやらその男はこの船の船長らしい

船長と呼ばれた男は後ろから聞こえた自分を呼ぶ声に振り向いた


「おぉアンタらは!」


そこには今朝、船を襲った魔物を追い返してくれた茶髪の女と金髪の男が立っていた


「ん?あともう1人緑髪の兄ちゃんは?」

「あぁ…トイレよ」


と茶髪の女は答えた


「んん?そっちの兄ちゃんなんか今朝より背伸びてないか?」

「え?」


急に話を振られ、金髪の男は困ったような顔つきになった


「気のせいよ」


またもやその隣りにいた茶髪の女が答えを返した


「?…まぁいい。今回は助かったよ、礼を言う」


少々気にはしたが女のかもし出す雰囲気に船長はそれ以上追求するのをやめた

代わりににこやかに礼を言うと、女は手の平をコチラに向けてきた


「?」


その手の意味が分からず船長は首を傾げた

手はそのまま、女は言った


「この世界…ただ礼を言うだけじゃ済まされないですよ?船長…」

「?」


まだ分からない様子の船長に女は続けた


「謝礼金、5万Gになります」

「ごっ…!?」


いきなり多額の請求を受け、船長は目を見開いた


「5万Gって…そんな話…!」

「コッチは命かけて船守ったんですよ?それとも…払えないとでも言うんですか?」


女の目付きが変った


「5万Gはちょっと…1万Gくらいに…」

「5万Gです」

「じゃあせめて2万Gに…」

「5万Gです」

「…だめですか?」

「5万Gです」

「……」


船長は泣く泣く懐の財布から5万Gを女に支払った


(毎回よくやるよ…)


その隣りで金髪の男があくびをしながら心の中で呟いた


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