novel

□1章 第3話
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「―あっ」


小さな声を上げ、ダルは自分よりも背の低いイファンの後ろに隠れた


「あら、今朝はどうも」


コチラに気付いた女―ロエラはニコリと微笑み、隣りにいた男―イヴェンと共に近付いて来た


「…そっちのお兄さんには随分嫌われたようね」


と、ロエラはイファンの後ろに隠れているダルを見た


「仲良くしましょうよお兄さん」

「…もぅ売り付けないか…?」

「えぇ…多分」

「嫌だぁぁぁぁっ!」


そんなダルの様子をロエラは明らかに楽しんでいる

イファンは後ろのやり取りを無視し、自分とそっくりの顔のイヴェンに尋ねた


「なぁ、あそこで船長ボーっとしてるけどなんかあったのか?」

「ん?あぁ…世界の厳しさを教わって放心してんだよ」

「は?」


イヴェンの言葉の意味が分からずイファンは首を傾げた

そんな2人の会話にダルとロエラは割り込んで来た


「ほら…船上で見たでしょう?アタシの法閠の威力。買っといて損はないわよ」

「イファン助けてーーっ!」


半泣きになりながらダルはイファンに後ろから抱き付いた

いきなり体重がかかり倒れそうになったイファンだが、なんとか踏み止どまった


「ふふ、面白いお兄さんねぇ」

「あんまからかってやるな…そのうち泣くぞ」


イファンのその言葉を聞き、ロエラは本当に面白そうに笑った

そんな中ダルは「それくらいで泣かねぇよ!」とイファンに訂正していた


「っ…あぁ面白かった…」


ようやく笑いを止めたロエラにため息をはきながら、隣りにいたイヴェンは口を開いた


「…アンタらどこ行くんだ?」

「オレらは隣り街のマキュラに行くつもりだが…アンタらは?」


イファンはその問いに答え、同じ質問を返した


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