novel

□1章 第4話
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ウーブル山

それはこの世界でもっとも高いと言われている山だ

そんな山の西側には1本の山道がのびている

それはミンジー山道

今はウーブル山に洞穴が掘られ、その山道が使われることはほとんどなくなった

洞穴に比べ、山道は斜面であるし天候に左右される


そして何よりいつ魔物が現われてもおかしくないのだ








「疲れたぁ」


山道を歩く3人の内、1人が口を開いた


「疲れたぁぁ」


1人はもう一度、同じ言葉を発した

だが、他の2人はまるで聞こえていないように黙々と山道を歩いていた


「つっかれたって言ってんでしょうがぁぁ!!」

「あああぁぁうるせーっ!!」


ついに1人が怒鳴った

それにつられて黙々と歩いていた2人のうちの1人も大声で怒鳴った


「うるせーよお前!静かにしろよ!」

「アタシの名前は"お前"じゃないわよ」

「うるせーよマレア!」


ギャアギャアと騒ぐ1人の男―ダルセル・ティケシィはマレアに詰め寄った


「コッチだって疲れてんだよ!」

「何よ、逆ギレ?」

「あああぁぁなんかイライラするっ!!」


ダルはその場で地団駄を踏みマレアを睨み付けた


「…だから女なんて連れたくなかったんだ…」


その様子を見ながら、もう1人の男―イファン・G・アースノードはため息をついた


「オイお前ら!ぐずぐずすんなら置いて行くからな!」


イファンもまたイライラした口調で2人を怒鳴った


「だってこのマヌ剣士がつっかかってくるんだもの」

「マヌ剣士って何だよ!?」

「マヌケ+剣士=マヌ剣士」

「なんだとぉっ!!」

「……」


注意したにも関わらず、また口論を始めた2人を置いてイファンは歩きだした


「あっ!待てよイファン!」

「ちょっと置いていかないでよっ」


1人離れて先を歩くイファンに気付いたのか、2人は小走りで追いついて来た


「お前らが勝手に離れたんだろ…」


何故かキリキリ痛む胃を押さえながら再度、イファンはため息をついた







今、この3人はこの世界一高い山の山道を進んでいた


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