novel
□1章 第5話
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―ねぇ母様
―なぁに?
―どうして毎日神様にお祈りするの?
―それはね、みんなが元気でいられるようによ
―お祈りすると元気になるの?
―そうよ。神様は私達のことをいつも見守って下さっているもの
―神様はどこにいるの?
―神様はね、あの大空に浮かぶ白い雲の中にいるのよ
―ふぅん
―だから、空に向かってお祈りをするの
―じゃあアタシも母様が元気でいられるようにお祈りする!
―ふふ、父様の分はお祈りしないのかしら?
――――…
「っ!!」
夜明けが近いのか、カーテンを閉め忘れた窓からはうっすら陽の光が差し込んでいる
「…はぁ…はぁ……」
陽の光は徐々に強さを増している
そんな宿の一室に、マレアは泊まっていた
「はぁ……」
軽く汗をかいた額に右腕を置き、目を閉じた
(嫌な夢)
息を落ち着かせ、マレアはベッドの上で寝返りをうった
(昔のアタシってホント馬鹿)
(神…なんて、いるはずもない存在を信じてたなんて)
(…はぁ…やだやだ、自己嫌悪)
くぁっと大口を開けてあくびをし、マレアはそのまま寝る体制をとった
(神…なんか…)
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