novel

□1章 第7話
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「腹減ったなぁー」


そう呟いたダルは空腹を訴えるように腹をさする


スラム街とはいえ、人が生活する場なので必要最低限なものはあるように伺える

それでも生活水準が低いのに変わりはないが


「へぇ…ここがスラムねぇ」


普通女ならこういう所へは来たくないと思う場所のはずなのにマレアは興味深い顔で辺りを見渡している


「……」


無意識にため息をついたイファンはさっさとここから離れたい一心で通りを歩く


「満足したか?」

「全然」


即答されたその言葉にイファンは頭をがりがりとかいた


「というか見て楽しいモンなんてないだろ」

「そう?アタシは楽しいけど」


そう言うマレア同様にダルも辺りを見渡している

いつになったら首都に行けるやら、と声に出さずに呟きイファンは頭をかいていた手を下ろした


多少なりともここの住人より身なりのいい3人は先程からちらりちらりと視線を受けている

それに気づいているイファンはその視線を振り切るよう足早に進んだ





「――…お、」


路地裏に1人の男がいた


「はっけーん」


その男は路地裏から少し先の通りを見ていた


「見失わないようにしねぇとな」


男はそう言うと寄り掛かっていた壁から離れ、さくりと土の地面を踏み出した


「今日は愉しめるかねぇ」


誰に言うでもなくぽつりと呟き、男は路地裏から通りに出た


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