倭ノ世界

□闇の少女
1ページ/2ページ



コツ…コツ…コツ…



光在りし処に



闇は在る


「月詠(ツクヨミ)様…」



闇は闇を呼び



「そろそろ出るわよ…」


さらに大きな闇となる




「はっ…」



長い黒髪に
真っ暗な瞳
整った顔つき



僅か18歳にして
闇世界の長となり

魔法世界の間で最強を謳われた



彼女の名は
『月詠』



「月詠様…隊の準備が整いました」



月詠の傍らに跪くのは
死神の面を被った一人の男



「…闇…を…
…絶望を
…悲しみを
…怒りを
憎しみを

奴等に分からせてやりたいか?」



真直ぐ前を見据えたまま

冷たく
18の少女とは思えない様な口調で話す
月詠



「もちろんです…月詠様…
今こそ…奴等にこの憎しみを…!」


死神の面を被った男が
面の下で唇を噛み締めた


「……隊の所へ行くわよ……」


「…はっ」


男は月読が歩き始めるとその後に付いて
歩き始めた


ヒール音を響かせながら


歩く…



月詠の瞳には


何も映っては居ない






―――――‐‐‐


「月詠!!」


少し離れた場所から月詠の名を呼び
早く来いよ
と手招きをする一人の少年

「まってよ、暁(キョウ)
まだ…」

月詠は慌てて暁に駆け寄る


「月詠、見ろよ
スゲーだろ」



駆け寄って来た月詠の手を取り
暁は月詠にあるものを見せた



「ゎ……な、何?」



月詠はそっと見せられたものに触れる




有り得ないほどの魔力を感じた



「ヤバいよな…
コレが“白虎の刃”
なんだってよ」




白虎の刃…



月詠はポツリと呟いた




「………」



伝説の刀を前に


月詠は言葉を失っていた


青龍

玄武

白虎

朱雀



この世界で神の様な存在で在る

“神獣”


の内の一つで在る



白虎の魔力が宿って居ると伝えられる

“白虎の刃”





「…こんなデカい刀
振り回すの大変だよな…」




白虎の刃は月詠や暁の身長よりも頭一つ分ぐらい大きい
…スゴい………




「まさか白虎の刃を見れるとはねー」



暁と手を結びながら



帰路につく月詠が空を見上げながら言った




「今だけ展示してるんだってよー」



暁も月詠同様
空を見上げた




「月詠ー」



「んー?」



「明日…さ、
なんか…用事あるか?」



明日?



月詠は首をかしげて聞き返した



「そ、明日」



「なにも無いよ?」



月詠がニコッと微笑むと暁はギュッと強く手を握った



「そっか、良かった」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ