NOVEL


□糖質100%
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「海堂、一緒に帰ろうか」

「……っす」




今日も、
先輩から誘ってくれた。
いつも誘ってくれるのは
先輩で……。





「海堂、今日の練習は
どうだった?」

「どうって、別に……
普通でした」

「そうか。だったら今のメニュー、
もう少し増やしてみないか?」

「……お願いします」





他愛のないごく普通の会話。
だけど一緒に帰れるのが、
並んで歩けることが
堪らなく嬉しい。




「あ、家…着いたね」

「………っす」




早い…。

乾先輩と話すだけで、
一緒に帰るだけで、
時間が早く感じる。
距離が短く感じる。



まだ…
一緒に居たかったな…。





「海堂」

「何す…んっ…!」



キス……された。


いつもは"バイバイ"とか、
"またね"とかで………。



キスは、しない…のに///




「な、何でキス…?」

「んー、
海堂が悲しそうな顔を
してたからかな…」

「なっ…してないっすよっ///


「ははっ、そうか。
それは悪かったな」

「///」




じゃあ、また明日。


そう言って乾先輩と別れる。





まただ…


誘ってくれるのは乾先輩で、
キスしてくれるのも…
乾先輩。



俺は貰ってばかりで、
何も返せてない…。

何か、俺に出来ないのか?






≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫ ≫ ≫ ≫





「ぃ…乾先輩っ」

「海堂か。今日も練習お疲れ。
この前より少し増やしてみたけど
どうだったかな?」

「あ…良かったっす」

「そうか。それは良かった
メニューん組み直したかいが
あったな」

「………………っす」





って、俺はこんな話を
しに来たんじゃねぇだろ!

もう一回…!




「乾先輩っ」

「ん、海堂?」

「あの……今日…」

「今日…?」




頑張れ俺!



「今日っ……一緒に…
帰りません、か?」

「え…」




乾先輩戸惑ってる…。

やっぱり、俺からって
変だったか?



「あ…やっぱ「そうだね、
一緒に帰ろうか」…え?」

「ん?
帰らないのか?」

「えっ…いや、帰るっす」

「じゃあ行こうか」





少し…緊張した…。
断られたら、とか。
俺らしくねぇ…。
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