物語
□序曲
1ページ/3ページ
後の世の者は、この荒々しくも眩しかった数世紀を振り返り、こう語る。
大地が、空が、そして何よりもそこに住まう人々が、
最も生きる力に満ち溢れていた時代であった、と。
世界は、今よりもはるかに単純にできていた。
すなわち、狩るか、狩られるか。
明日の糧を得るために、己の力量を試すため、またあるいは富と名声を手にするため、人々はこの地に集う。
彼らの一様に熱っぽい、そしていくばくかの憧憬を孕んだ視線の先にあるのは、
決して手の届かぬ紺碧の空を自由に駆け巡る、力と生命の象徴……飛竜たち。
鋼鉄の剣の擦れる音、大砲に篭められた火薬のにおいに包まれながら、
彼らはいつものように命を賭した戦いの場へと赴く………
.