泣く子もだまる親衛隊
□泣く子もわらう
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「盗み聞きするつもりはなかったんだけど、ごめんね」
後ろのやつはおれの肩を叩くと、その姿を現わした。
真っ先に目を奪われたのが鮮やかな金色の髪。あまりにもつやがあるから、偽物っぽいけど、さらさらとした毛先が風に流れていた。
かっこよくもかわいくもある中性な顔立ち。
真っ赤な唇が弧を描いて、ふっと笑った。
「そんなに見つめないでよ」
「ご、ごめんなさい!」
とっさに謝ったけれど、これが見つめないでいられるか。おれの目の前には、いまいましい親衛隊の一人が立っていたのだから。
しかも、記憶が確かならば、彼は親衛隊の
「隊長さん」
思ったことがつい口からこぼれてしまう。
「あれ、よく知ってるね」
それはもう。
あなたは目立ちすぎるぐらい目立ってますから、とは言えない。
「それなら話は早いや。きみさ、もしよければだけど」
何なんだ、次は。
「親衛隊に入らない?」
「へ?」