泣く子もだまる親衛隊

□悪魔も笑う
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笑顔なんて、もともとなかった。笑い方を知らないぼくには、闇しか広がっていなかった。

それは中等部のころのぼく。黒髪で表情のとぼしいぼく。
あの時は金髪じゃなかった。

周りからは気味が悪いとまで言われて、居場所なんてなかった。

いつものように、殴られて蹴られてそんなもの。相手はぼくより身分の高い金持ちのご子息さま。

抵抗のしようがないじゃないか。

そんな日々を打ち消すように、
センパイは現われた。

「おい! 大丈夫か?」

大きな体が陽の光をさえぎるようにたたずんでいた。

こくりとうなずけば、その人は目を細め、白い歯を見せた。
大きな手のひらを差し出して

「立てるか?」

これがセンパイとの出会いだった。
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