泣く子もだまる親衛隊
□泣く子もそだつ
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そんなもんでくどかれても、おれにはリアクションがとれない。せいぜい固まるくらいしかできないし。
だっておれ、男は無理だ。
「もうちょっと恥じらったりできねえのかよ、てめえは」
エロ教師はなんか言ってたけど仕方ない。鳥肌が立ってやばい。無理だ。
「おれ、無理です。隊長さま以外、いけそうにありません」
そうだ。親衛隊が解散されてからもおれは傷心を引きずってて、ますます男嫌い(というのも変だが)に拍車がかかった。
「ふうん。あの嫌われ王子ね」
嫌われ王子。隊長さまの今の呼び名だ。
今じゃ親衛隊を潰したのは隊長さまで、汚い手を使い会長さまに取り入ったとか。
そんな噂をしてたやつは、当然、殴り飛ばしてやったけど。元穏健派としてはちょっとやり過ぎだったかもしれないと、今なら反省してる。
「教師がそんなこと言っていいんですか?」
「ああ、怒るな。悪かったって」
にたり顔はまったく悪かったと思ってないだろう。
「ほら、とっとと入れ、真っ平」
真っ平だけはやめてくれ。ようやく通されて教室に入ったら、すべての目がおれに注目した。
その瞳はなぜこんなにも冷ややかなのか。答えは簡単だ。あんなエロ教師にもファンがいる。かなり多くの。