スーツアクター

□思い切る【神林くん視点】
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家族と不仲になってからずっと、早く家を出たいと思っていた。

だから高校からは死ぬほどバイトをして、一人暮らしの資金を貯めた。

家から余裕で通える大学へ進学したが、一人暮らしを咎める人間はいなかった。

ただ、学費だけは間に合わなかったので両親に頭を下げると、パンパンに膨れた封筒を差し出された。

4年間分の学費を払ってもかなり余る程度の金が入っていた。

手切れ金だった。
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