スーツアクター
□触れる
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しばらくうとうとして、結局眠れなかったのでベッドに入るだけ入ってごろごろしてた。
ピンポーン
時刻は22時を過ぎたところ。
こんな時間にインターフォン鳴らすなんて、確実に知り合いだろう。
アルコールでふらつく足でのんびり玄関へ向かう途中、インターフォンが3回も鳴った。
誰だ、こんな夜中に。
と思っていたら。
ドンドンドンドンッ
ドアをせわしなく叩く音がした。
誰だこんな夜中に!
おれは起きてるからいいけど、近所迷惑だろう!
「誰だ!?」
言葉と共に寄りかかる勢いでドアを開けると、汗だくになった神林くんがいた。
「え、神林くん?」
どうしてここに?と言う前に、神林くんに抱きしめられていた。
「神林くん?」
ぎゅーっと腕に力をこめておれを抱きしめる神林くんの胸が、息切れで激しく上下してる。
「走ってきたの?」
「電話、出ないから」
「え、電話?」
「気づいてなかったのかよ?」
「ご、ごめん…なさい」
神林くんの口調が怖くてつい敬語になる。
「と、とにかく中入ろう?」
ドア半開きで抱きしめられてて、ちょっと恥ずかしい…。
神林くんは再度ぎゅっと抱きしめてからおれを解放した。