スーツアクター

□知る
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翌朝、珍しく神林くんより早く目が覚めた。

どうしよう、神林くんの素顔が丸見え。

起こしたら焦るかな。

それはちょっとかわいそうだな…。

神林くん、やっぱりイケメンだなぁ…。

顔のつくりはわりと男らしいんだけど、よくよく見ると繊細なつくりをしてるように見える。

性格がにじみ出てるのかな。

髪の毛もう少し短い方が似合いそう。

あんまり見てても後ろめたいのでそろそろ起こそう。

「瑞紀ー」

肩をゆすって声をかけると、神林くんはパチッと目を開けた。

パチッと目を開けたのにぼーっとおれを見る。

寝ぼけてる?

あ、視力弱くて見えてないとか?

メガネを取ってかけてあげると、一瞬で起き上がってベッドヘッドに張り付くように後ずさった。

「…見た?」

もしかしなくても素顔をってことだろう。

「うん」

答えると、じりじりと横にずれて、ベッドから降りるとダッシュで玄関へ向かおうとする。

「待って待って!」

腰にタックルする形で引き留めようとするけど、おれを引きずってまで出て行こうとする。

「大丈夫!大丈夫だから!落ち着いてー!」

部屋の出入り口でおれの足が引っかかって引き留めるのに成功した。

「す、座ろう?」

「……」

無言で部屋に戻って座ってくれる。

「大丈夫?」

貝に閉じこもったような顔のまま、答えてくれない。
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