短編

□いつかあなたに
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「あ、おい。どこ行くんだよ。また保健室か?」
「ああ。昼寝しにな」

そう友人に"嘘"の理由を伝えて俺は保健室へと向かう。俺の足取りは軽い。

「先生ー、いるか?」

保健室に到着し、俺はいつも彼女が座っている場所へと視線を移す。そこにはいつもの先生がいた。俺の存在に気づくと、彼女は席を立ち、口を開いた。

「いるか、じゃなくていますか、が正しい言葉の使い方だと私、あなたに教えなかったかしら?」
「んなの別にいいだろ、ジュディス先生。…それより、寝に来たんですよ俺は」
「保健室は昼寝に使うとこじゃないと思うのだけれど」

そんな彼女の話など聞かず、俺はとっととベッドへと向かう。

「それに今日は、体調が悪くて休みにきてる子もいるわ。昼寝なら他の場所でしなさい」
「へえ、今日は体調不良の子がいるのか。……でも、別にベッドは二つだし、問題無いないと思いますよ。それに俺、静かにするし」

そうして、俺はとっととベッドに腰かけ、寝る準備を始める。そんな姿を見て、彼女はため息をつく。

「カーテン閉めるわよ」

だが何だかんだ言って、彼女は俺が寝ることを許してくれるらしい。そうして、俺が寝ているベッドのカーテンをガラガラとしめた。だけどそのカーテンには隙間があって、その隙間からは丁度彼女が見えるようになっていた。その隙間をラッキー、だなんて俺は思ってみる。

「……寝ないのなら、教室に戻りなさい」
「いえ、戻りません。寝ます」

俺の視線に気づいたのか彼女は言った。
……先生って、怒ったら怖そうだしな。ここは大人しく彼女に従って、寝るとしよう。
そう思って、俺は瞳を閉じる。だが、心臓がドキドキして俺は寝れやしないかった。

「そろそろ授業が始まるわ。起きなさい」

中々寝れずにいると、いつの間にか時間が来てしまったのだろう。ガラガラとカーテンを開けながら彼女は言った。

「ちぇっ、もうちょっと寝かせてくれよ先生」
「そうはいかないわ。私だって一応教師だもの」

そうして、少し微笑んでくれた先生。……なあ先生。俺が毎日こりずにここに来る本当の理由、知ってるか?

「全く……毎日毎日、昼寝をするためだけに保健室に来るなんて子、珍しすぎてあなたしかいないわ」

昼寝、だけ?……そうか、やっぱ先生は気づいてないのか。
俺はその為だけに来るんじゃないんですよ。というより、昼寝なんて目的は初めから俺にはありゃしない。昼寝は、ここにくる口実にすぎないのだから。

「じゃ、また明日な、先生」




いつかあなたに




(俺のこの気持ちを伝える時が来るのだろうか。……なんてな)




――――――
カーテンから覗くなんて主人公は変態?いやいやそんなまさか
 

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