短編

□大切だから、
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ねえ。以心伝心なんてのを使える人間なんて、滅多にいないんだよ。

「ユーリは?」
「……さあな」

ユーリは、わかってない。いや、わかってるのかもしれないけど、言葉で言おうとしないんだ。伝えてくれないから、私も心配になるんだよ?

「私、ユーリのこと大好き!」

だから、友達の前でこんなことを言ってみたりした。私の本心をぶつければ、ユーリは恥ずかしがってくれるかな、って思って。だけど、恥ずかしがってくれたのかは結局、わからないかった。だから、勇気を出して言ったんだ。「結婚するからね」って。

「     」

それから返ってきたユーリの言葉は、思い出せない。……いや、きっと思い出したくないんだと思う。
だけど、きっとユーリは『冗談』をついたんだと思って、笑顔を作って、「だよね」だなんて言ってみたんだよ。
ユーリって、考えてることが顔にあまり出ないから、確証は無いんだけど。

「ごめんね」

心を通わすことが出来なくて。ユーリを信じることが出来なくて。でも、好きだったの。そう、好きだった──。

過去形にしてしまったのは、私の情けなさ。ここからいなくなるのは、私の心の弱さ。





なにもいわないよ、
あなたが大切だから





(だから、何も伝えずに旅立つことを許して下さい)





 

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