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□Rain
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久しぶりのオフ








久しぶりの二人きり









《Rain》















せっかくのオフなのにあいにく天気は雨。
だから仕方なく僕の家で逢うことになった








「…亮ちゃん…何見とるん?」


亮ちゃんは一人でずっと窓の外を見ていた






「…雨。雨見てるんや…」







亮ちゃんは僕の方も向かずずっと雨を見ていた







「雨……そやかてなんで?」






「俺…嫌いやねん、…雨」






彼は悲しい目をしていた








「嫌いなのに見とるん?」





「…なんでやろやぁ…つい見てまうんや、嫌いなはずなのに…」









彼は今にも泣き出しそうで






長い沈黙















やがて彼から口を開いた









「俺なぁ…昔、付きおうてた女にフられたんや…雨の日に」







「え……」







「だから…雨には良い思い出なんて何にもあらへん…」










その表情はとてもはかなくて









とても脆くて











とても愛しかった










「…たっちょん…?」







気付くと僕は亮ちゃんを抱きしめていた







温もりが伝わってくる







「僕は…好きやで、雨」





「…え……」





「雨って…嫌なことも全部洗い流してくれるやろ?…だから僕は好きや」





「…そうやな…」






「亮ちゃんの嫌な思い出も…雨が全部流してくれんねん…きっと」






「おん。おおきに…」
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