Semi Sweet・2

□あなたとの距離/嘘と真実
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あなたとの距離
(よりぬきお題より)



「ここでいいよ」

校門から数メートル離れたところで、車を降りる。

運転席の彼に手を振り見送った所で振り返れば、同じクラスの仁王君がこっちを見てた。

「彼氏?」

「・・・うん」

本当は義兄ちゃんなんだけど。

あたしはそう答えて仁王君の様子を伺う。

仁王君はいつものように人を馬鹿にしたような薄ら笑いを浮かべている。

ちえっ!

反応なしか。

がっかりするあたしの頭を仁王君がポンポンと二回叩く。

「何すんの?」

「ん、良かった思ってな、お前にも彼氏が出来て」

「ち、違う」

「何が違う?」

「違わないです」

あーあ、もう何やってるんだかあたしは。

仁王君と並んで下駄箱で上履きに履き替えてると、先に終えた彼は教室と違う方向に歩きだした。

「どこ行くの?」

「聞くだけ野暮やよ」

あ、サボリか。

ひょいひょいとリズミカルに階段を駆け上がる銀髪の背中。

届きそうで届かない距離。

やっぱりあたしには詐欺師を騙すなんて10年早いんだろうな。



かけひき上手な人になんてなれそうもないよ。



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