Semi Sweet・2
□こんな私だけど
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昨年のバレンタイン、立海テニス部のレギュラーの皆さんはものすごくたくさんのチョコをもらったらしい。
でもそれは予想の範疇だ。
今年のテニス部のマネに立候補した人だってあんなにたくさんいたんだもの。
一年に一度のこのチャンス、皆が見逃すはずがない。
マネージャーのあたしとしては、一応お世話になってる先輩方に全員にチョコをお配りしようと思ってたけど。
そんなに多くのチョコをもらう先輩達が、義理のしかも不器用なあたしの作るチョコなんて迷惑に違いないよね。
友達にも相談したら「好きな人にだけあげれば」との事。
それが出来れば最初っから悩まないよ!
こんな私だけど
よりぬきお題より
「や、柳先輩」
部活も終了したところで、あたしは柳先輩に声をかける。
その横で丸井先輩や赤也先輩がまた「親子だ!親子がここにいる!」と馬鹿にした声。
うーん、話しづらい。
もじもじするあたしに気を使い、柳先輩は騒ぐ二人に「静かに!」と一喝。
「それとお前も、この手離して欲しいんだが」
きゃあー!いつの間にかあたしの手はしっかりと柳先輩のジャージの端を掴んでいた。
「で話とは」
「くだらないことで申し訳ありませんが、昨年のバレンタインの時・・・」
「バレンタインのチョコか、んなの気ぃ使わなくていいぜ、でもどうしてもってーなら俺もらってやるぜ」
「丸井先輩あれだけもらっといてこいつからももらう気ですか?糖尿病になっても知りませんよ」
邪魔しないでください、丸井・赤也両先輩。
ぎゃあぎゃあ騒ぐ二人を尻目に柳先輩は、静かに答えてくれた。
「弦一郎なら、四個程もらっていたな」
な、なんでわかるんですか?真田副部長の事聞こうとしてたって。
それにしても四個ってリアルな数字、やっぱり本命ってことかな?
「といっても本人はあまりこの行事自体興味がないらしく、ホワイトデーのお返しも俺が教えてやらなければ忘れるところだった」
そうなんですか?真田副部長らしいっていえばらしいけど。
「手作りするなら、甘さ控えめにすればいい」
「えっ?」
「違うのか?」
「・・・」
顔を赤くするあたしに柳先輩は頑張れと頭を撫で、丸井・赤也両先輩も「そういうことか」と納得したようだった。