Semi Sweet・2
□恋は盲目
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恋は盲目
(よりぬきお題より)
「ジャッカルー!」
授業が終わり、部活が始まるまでのほんのひととき。
それがあたしと彼の逢瀬。
あたしはいつもの待ち合わせ場所に彼が現れると、大きく手を振った。
ジャッカルは「おう」と返事をすると、ジャージ姿のままこちらにやってくる。
「あれ?もう着替えたの」
「前の時間自習で早く終わって時間あったからな」
そして、それはとあたしの手にしてる紙袋を指差す。
「じゃーん、手作りのジャッカルケーキです」
本当はただのコーヒーマフィンなんだけどね。
丸くてふわっとしたとこが、ジャッカルそっくりなの。
「おお、うまそうだな、部活終わったら・・・」
「駄目!今食べて」
「今?」
「だって丸井ブン太に見つかったら全部食べられちゃうでしょ、あたしのジャッカルへの愛が詰まったこのジャッカルケーキを!」
そう言って、紙袋を掲げると、わかったわかったと呆れ顔。
「・・・ブン太と喧嘩でもしたのか?」
ビンゴ。なんですぐわかるのかなー、やっぱりこれは愛の力かしら。
あたしはそこで昨日の話を始めた。
ブン太の彼女の美奈ちゃんはすごく可愛くて、本当ブン太にはもったいないなーって感じのいい子。
あたしもすごく好きで、仲良くさせてもらってマス。
昨日はD2の彼女同士久し振りに色々語り合ったわけよ。
そしたら美奈ちゃん、ブン太ファンの子に昔意地悪されたって話をしてきてね、わかるわかるーって、あたしも同意したの!
そこにブン太が現れてこんなこと言ったのよ
「おまえに限ってそれはありえねぇーだろい!」
ねぇ?ジャッカル失礼だと思わない?
「そ、そうだな・・・」
ジャッカルはなぜか冷や汗を流しながら、マフィンをぱくついていた。
これうまいぜとちゃんと褒めることも忘れずに。
「それとね、話は変わるけど」
「(まだ、なんかあるのか)う、うん」
よくマンガでバレンタインの朝、モテル男子の下駄箱から、チョコがどさーって落ちてくるのあるじゃない?
あれって現実にあるのか確かめたくて、本人より先に開けてみたの。誰って?とりあえずユッキーと詐欺師。
そしたらね、入ってなかった。よく考えればうちの下駄箱小さいから、チョコなんてはいらないよね。
せっかくラッピングしたやつだってぐちゃぐちゃになるし、大体靴入れるところに食品入れるのもおかしいよね。
ああ、もちろんジャッカルのとこもチェックしたわよ、彼女としては当然じゃない。なにも入ってなかったけどね。