Semi Sweet・3
□Shining star
1ページ/1ページ
南と付き合い始めてから数ヶ月、季節は夏の準備を始めている。
Shining star
私はずっと南に片思いしてたから、それが成就したときには嬉しくて、まわりにいる皆に言ってまわりたいくらいだったのに・・・(まぁ、実際お惣菜屋さんの前で「南は私の太陽です!」なんてゆー、馬鹿な台詞を叫んだが)
南はシャイだからね。
そういうのは却下みたい。
それに、これは付き合ってからわかったんだけど。
以外と現実的な考えの持ち主。
付き合いはじめって、心に花が咲くような、ラララーって歌いだしたいようなそんな感じじゃない。
それなのに、そういうことを言うと「よくわからない」って顔で見る。
キヨがさ、たまに変な事言って南を困らせている時の表情とそれが似てるから、余計に腹立たしい。
雨の多いこの季節、たまには相合傘ってものをしたくて、わざと傘を忘れたふりした時も、部室に置き傘あるからって自分の傘貸してくれるし。
毎朝ちゃんと天気予報と占いは見てから学校来るんだって、笑いながら言われても、私は心で泣いていました(占いはキヨの影響だろう)。
鈍いよね・・・でもそんな南が好きなんだから。仕方ないです。
***
雷を伴う雨に部活は中止。
ちょうど委員会で放課後残っていた私は久し振りに、南と一緒に帰ることが出来た。
今日は、七夕。
私はビニール傘越しに空を見上げながら、これじゃあ今夜は星見えないねと南に言った。
「南?」
横を見れば、南は難しい顔をしている。
なんだろう?私また変な事言ったかな?さっきからの自分の言動を思い返してみるが、これといって当てはまるものはない。
はっ!まさか。
「南今日七夕だって知ってるよね?」
いきなり星の話なんかしたから、わけわからないと思われたのかな。
でもそれは私の勘違いで、南は「それくらい知ってる」と困った風に言い返された。
じゃあなんで?私が首をかしげると、いきなり南はいつもと違う方角に歩き出した。
私はあわてて後を追う。そして公園の雨宿りするには丁度いい屋根付きのベンチのところまでくると、傘を閉じた。
南はガクランのポケットから、何かを小さな袋を取り出すと、乱暴に包みを開けた。
「なに?」
「星見えないけど、かわりのやつやるよ」
南の大きくて、豆だらけの手から現れたのは、可愛い星がついたネックレス。
「・・・どうしちゃったの南?」
「お前、そこは普通喜ぶところだろ!」
だ、だって南が、いきなりこんなことするなんて・・・思わずつぶやいた私の台詞に、南は真っ赤になってじゃあいらないんだなと、ネックレスをしまおうとする。
「いります、欲しいです、南がくれるものならなんでも嬉しいです」
「なんかひっかかる云い方だな」
「だって、南がキヨみたいなこと言うから」
「・・・」
キヨという言葉にちょっとだけ、眉をひそめる。
「あっ、でも本当に嬉しいよすごく可愛いし、明日から学校にもつけてくね」
そう言うと、ああー失敗したと南はため息混じりに呟いた。
本当、南って可愛いなぁ。
七夕と星のネックレス。
一生懸命考えて私を喜ばせようとしてくれたんだよね。
南は私の太陽でもね。
「夜になって空を見上げた時、一番に輝いてるいる星を見つけるとそれが私には南に見えるんだよ」
「・・・お前こそ、千石見たいだな、よくそういう恥ずかしい台詞をぺらぺらと言えるな」
「嬉しいでしょ?」
じっと見つめたら、顔に手を当てて、私に表情が見えないように「ああ」と言った。
★end★
2005/07/07