Semi Sweet・3
□愛してるとか、好きだとか
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新学期になって、クラス替えがあって。うちの学年ではすごくモテる獄寺君や山本君と初めて同じクラスになってあたしは浮かれていた。
それなのに。あたしの隣の席は・・・
愛してるとか、好きだとか
(よりぬきお題より)
「おはよーおはよー!」
お供をひき連れて、朝からテンション高めのこの男。
あたしと目が合うと、彼、内藤ロンシャンは馬鹿でかい声で、今日も可愛いねーと叫んだ。
「そうですか」
声のトーンと一緒に気持ちも下がるあたしのことなどおかまいなしに、彼は隣に座ると、無意味に「いえーい!」とピースマーク。
なんなの?話しかけられるのが嫌なあたしは、上着から携帯をだしてメールを打ち始める。
「あれ、携帯オレと同じ機種だね、運命感じない?」
「(機種変したい・・・)感じません」
「うわぁーなんで敬語なの、もっとさーフレンドリーにいこーよ」
「・・・・」
無視してメールを打ち続けているってのに、彼は話しかけるのを止めない。
「一目ぼれなんだけどね〜」
「・・・」
「超カワイーよね」
「・・・・」
「あら、なんか話してよ」
「内藤クンって・・・彼女いなかった?」
「別れた別れた」
「えっ?」
そこで画面から彼の方に目線を送ると、無邪気な笑顔。
だってこの間クラスメート全員の前で彼女自慢したばかりじゃないの?
あたしの疑問が表情に現れていたのか、内藤クンは「やだなー」と言って、だから一目ぼれしたんだよってもう一回繰り返した。
「ロンシャンギャグかと思ってた」
「えー笑えないよそれ」
そこまで話したとこで担任が入ってきて朝のSHRが始まった。
いつもなら携帯の電源を速攻切るのに、この日は内藤クンに話しかけられ、それを忘れてしまっていた。
その事に気づいたの授業が始まってから10分位したときで・・・つまり、着メロが鳴りだしてしまったのだ。
メールだったのですぐ切れたけど、皆一斉にこちら側を見ている。
先生も「誰だ!」と言いながら歩いてくるし。
見つかると取り上げられるんだよね・・・ああ、どうしよう。
オロオロするあたしは机の中でぎゅっと携帯を握り締め、下を向いた。先生どうか見逃して。
「それ、オレで〜す」
えっ?
あたしの隣の内藤クンが携帯片手に机の上に跳び乗り、オレ!オレ!と変な踊りまで始めた。