Semi Sweet・3
□TWINKLE★ DATE
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TWINKLE★ DATE
「花火大会?」
応接室。指定席となっているソファの上で、雲雀はこの世のすべてがくだらないかのような顔をしている。
「そう、今度の週末」
一緒に行かない?
駄目もとで誘ってみた。付き合いだして初めての夏。
こういうイベントごとには参加したいじゃない(たとえそれがあの雲雀相手だとしても)。
可愛い彼女の誘いだってのに、彼の表情は冴えない。
人の多い場所、嫌いそうだもんね。
「あのね、いい場所見つけたの、結構穴場で人も来ないんだよ」
これならどうだ!
でもやっぱり彼は乗ってこない。
「・・・そんなことは気にしてない、人が邪魔なら片付けるだけだしね」
「・・・」
問題を起こされたくないから、わざと人のいないとこ探したんだよ。
ちっともわかってくれないんだから!
雲雀はほんの少し笑うと、それよりも気になることがあるんだと告げた。
「なんで君は制服着てないの」
「!」
確かに私は私服だ。
だって今は夏休みなんだよ、制服なんてとっくにお母さんがクリーニングに出しちゃったよ。
仕方ないからこれでも気を使って、白のシャツに紺のスカートと制服っぽい格好してるんだ。
学校大好き(なんてったって僕の学校呼ばわりだもん)風紀委員長様は休みなんて関係ないみたいだけど。
あっ、そういえば雲雀の私服姿って見たことない。
か、彼女だっていうのに・・・
今更ながら気付かされたこの事実に、ショックを受けた私は雲雀が睨んでいるのなんかおかまいなしに、付き合い初めてからの日々を思い返してみた。
(や、やっぱり見たことないよ)
私の中の雲雀は常に制服姿だ。
私服、持ってるよね?花火大会といえば、浴衣だけど、雲雀の浴衣姿。
(み、見てみたい)
たまにはいいと思うんだけど。
「雲雀、浴衣持ってる?」
「その質問に答える前に君の言い訳聞いてあげるよ」
「ふぇ?」
言い訳って、何でしょうか?
私わかりませーんと首を傾げたら、トンファーの先っぽが胸元を指し示す。
(び、ビックリした)やられるかと思った。ああ、制服の事ね。
「だって今は休みだし・・・」
口にしてから、確かに言い訳だなって思った。
「・・・」
いや無言になられても困ります。
雲雀はやれやれと、子供相手してるみたく、大きな溜め息をつく。