過去拍手文

□treasure
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『treasure』


夕月からお守りだと言って渡されたクロスのネックレス。
自分の為に何かをしてくれたことが素直に嬉しくて、俺は毎日肌身離さずつけている。

「ルカ、いつもつけてくれてるよね。嬉しいな♪」

と夕月が笑って言ってくれたときから、さらに大事に大事にしていた。



そんなある日、任務が終わり黄昏館へ帰っていた時、夕月から貰ったクロスがないことに気付いた。さっきの悪魔との戦闘中に落としてしまったのかと急いで、来た道を戻る。
せっかく貰ったのに無くしたと言った時の夕月の悲しそうな顔が頭に浮かんでくる。
必ず見つけなければ‥。




「ルカ、遅いな…」

時間は夜の10時を過ぎていた。もう帰って来てもいい頃なのに‥と夕月は一人で部屋に居ると、だんだん心配になってきた。
“何かあったのかな”、“怪我とかしたのかな”などと考えだしたら止まらない。
堪らなくなって外で待っていると、黒い影がこっちへ向かって来ているのが見えた。



結局見つからなかった。
すっかり辺りも暗くなってしまった。
すると自分を呼ぶ声が聞こえた。
「ルカっ!」
「ユキ………」

夕月がこっちへ来る。

「ルカ遅かったね。心配したよ‥。どうかしたの?」
「ユキ、すまない。せっかくくれたネックレスを何処かに無くしてしまったみたいだ。本当にすまない…‥」

夕月は悲しい顔をしているであろうか‥
当然だろうな。
そう思い夕月の顔を見ると、笑っていた。

「それを探してて遅くなっちゃったんだ。ルカに何かあったらどうしようって心配してたんだよ。でもよかった」
「ユキ……怒らないのか?」
「うん?怒らないよ。だってあれは無くしてもまた作れるでしょ?でもルカは一人しかいないし、だからルカの方が僕にとって大事なんだよ」
「ありがとう、ユキ……」

そう言って夕月を抱きしめる。

「うん。おかえり、ルカ」



end

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