過去拍手文

□treasure U
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『treasure U』



ネックレスをなくした日から随分経ったが、俺は外に出る度に探している。
夕月は もういいよ と優しく言ってくれるのだが、どうしても探すのを止めることは今だにできない。
あれは…あの夕月から貰ったクロスのネックレスは、つけているといつも夕月が自分の傍にいるような‥そんな気がして嬉しかった。
だが、なくした今、夕月が自分と一緒にいる時は前と変わらず安心するが、任務や何かで夕月と離れてしまっている時は不安で堪らなくなる。
それほどまでに大事な、夕月との繋がりだったんだ。








ルカとの帰り道。

歩きながら僕の話は黙って聞いてくれるのだが、やっぱりルカの目はあのネックレスを探しているようで……。
また新しいの作るからいい と言っても、笑って僕の頭を撫で、「絶対に見つけるから」と言うのだ。
そんなにも大切にしてくれていたのかと思うと、なんだか嬉しくなる。

(はやく見つかるといいな‥)

歩きながらそう思っていると、横を通り過ぎた男の人の胸にあのクロスのネックレスが見えた気がした。
(あれって、ルカにあげたやつ…だよね?)

「あ、ルカ、ちょっとだけ待っててくれる?」
「どうかしたのか?」
「ううん、ちょっとそこまで行くだけ。すぐに戻るから、お願い」「そうか…わかった。気をつけるんだぞ」
「うん。ありがとう、ルカ」

ルカは心配そうな顔をしていたが、そう言い残し走ってさっきの人を追いかける。

やっとのことで追いついた。
よく見ると若い男性の二人組だった。自分よりは年上だろう‥

「あの、ちょっといいですか」

そのうちの一人の肩を叩き呼び止める。

「ん? なんかようか?」
「あ、はい。突然すいません。あの、その首にかけてるネックレスどうしたんですか?」
「これ?ああ、この前道に落ちてたから拾ったんだよ。こういうネックレス欲しかったからラッキーだったよな」
「お前、フツー落ちてたやつつけねーだろ」

そう言って笑い出す二人。

「で、これがどうしたわけ?」
「あの、それ僕の大切な人のものなんです。ずっと探してて。だから、悪いんですけど返してもらえませんか」

お願いします と頭を下げると、二人は何やら話しているみたいで。

「そういうことなら、いいよ、返してあげる」
「本当ですかっ、ありがとうございます」

と顔を上げお礼を言うと、男達はニヤニヤしていた。

「でーも、おにーさん達と遊んでくれたら、だけどね」

「えっ………?」







つづく

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