過去拍手文
□小さな独占欲
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『小さな独占欲』
やっぱりルカは甘いイイ香りがする。
つい最近知ったこの香りは、ルカに抱きしめられる度にフワリと鼻をくすぐり僕の脳に甘い刺激を与えてくる。
これを肌で感じることで確かに僕の傍に彼がいるという実感もわいて、孤独だった自分に大きな影を残してくれる。
(ずっとこうしていたいな…)
ルカの腕の中で一時の間大好きなその香りに浸っていると、ふと橘の言葉が頭に浮かぶ。
“ゼス”特有のこの甘い香りは女性を口説いたり、惑わせたりするための武器だと…そう言っていた。
それじゃあルカは僕の知らない昔にそういう風に武器として誰かに使っていたのかな………
この香りは僕だけのものだと、いつしか思い込んでいたから…。
チクリと胸が痛む。
気づいたらやんわりとルカを押し離していた。
「ユキ?…」
俯いてしまった夕月の髪をルカの手が心配そうに触る。
それでも黙ったままの夕月にルカが声をかけようとすると、いきなり夕月に抱きつかれる。
「!…ユキ」
「ルカの…ルカのこの香り、僕だけのものにしちゃ…ダメですか?」
突然の夕月の行動に一瞬目を丸くしたルカだが、すぐにいつもの顔に戻り強い腕でまた抱きしめ返した。
「ユキがそう望むなら…俺の全てはユキのものだ、それに前世でも今世でもこんな風にするのはユキだけだよ」
「うん…」
何の躊躇いもなく言ってくれることが嬉しくて、また深くルカの胸に顔を埋める。
僕だけの甘い香り。
End
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐本誌5月号をもとにしてみました^^
甘いお話になりました(いろんな意味で)☆