過去拍手文

□カナシミレンサ
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《拍手連載》

※死神パロ

ルカ=死神
夕月=人間



『カナシミレンサ』





ルカはいつものごとく渡されたリストにパラパラと目を通していた。




死神の仕事は簡単だ。


ただこのリストにそって死んだ人間の魂を回収しに下界へとおりるだけの単純作業。

死神として生まれたものはその身が朽ちるまでこの作業ともいえる行為を毎日毎日繰り返す。

死神は人間とは違い簡単に身が朽ちるわけではないが、ある規則を破れば砂になって消えるらしい。

そうなった死神を少なからず知っている。


(おれには関係ないことだ…)



それに比べて人間はもろい。

毎日何十、何百と魂を回収しているにもかかわらず、いっこうに減る兆しは見えない。

そんな人間にいちいち感情など持つこともない。







……そう思っていた、

今日までは…。








リストをめくる手があるところで止まった。



((桜井夕月))


「サクライ…ユキ、」

(16…か、若いな…)

そう思いつつもその少年のページからは目を離せずにいた。

いつもなら名前と死因にざっと目を通すくらいで済むはずなのだが、なぜだか不思議と引き付けられた。

最近は老人の死が多い中、16歳というのが目立つだけなのかもしれないが。


リストによればこのユキという少年は生まれた時から身体が弱く、病を患っているそうだ。

そのせいか生まれてすぐにユキの両親はユキを施設の前に捨て、行方をくらませた。

施設に入ってからも成長するにつれて病状は悪化していき、今は入院生活を送っている。


天涯孤独… としかいいようがないと思った。


気になったのはただの同情に過ぎないだけなのかもしれない。


そんな彼の死因は、

(やはり病死か……)

死亡日は人間界の時間でいうとあと3日後。

誰にも看取られないでひっそりと病室で息を引き取るんだろうな。

その魂をおれが回収するだけ。


ただそれだけだ……







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