BOOK

□緋のコート
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「ピチチチ、チュンチュン、チチチチ」

鳥が五月蝿く囀ずっている。

アタシは、重たい体を起こした。

太陽の光が眩しい。

何も服を着ていない。

そう言えば、アイツと一緒に寝たんだ。

昨日の事を考えるだけで顔が熱くなった。

ベッドにはアイツの匂いがする。

暖かくて、優しい匂いがした。

恐らくアイツは、シャワーを浴びているんだろう。

アタシは、椅子に掛けてあるアイツがいつも身に纏っている緋のコートを見た。

そう言えば、いつからだっけ?アイツがアタシの身長を越したのは…。

アタシは、意を決して、緋のコートを着てみた。

思った以上に大きい。

アイツに抱きしめられている感じがした。

もう暫くこの格好でも良いなぁって思った。

アイツがシャワーから出てくるまであと少し。

END
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