BOOK
□緋のコート
1ページ/2ページ
「ピチチチ、チュンチュン、チチチチ」
鳥が五月蝿く囀ずっている。
アタシは、重たい体を起こした。
太陽の光が眩しい。
何も服を着ていない。
そう言えば、アイツと一緒に寝たんだ。
昨日の事を考えるだけで顔が熱くなった。
ベッドにはアイツの匂いがする。
暖かくて、優しい匂いがした。
恐らくアイツは、シャワーを浴びているんだろう。
アタシは、椅子に掛けてあるアイツがいつも身に纏っている緋のコートを見た。
そう言えば、いつからだっけ?アイツがアタシの身長を越したのは…。
アタシは、意を決して、緋のコートを着てみた。
思った以上に大きい。
アイツに抱きしめられている感じがした。
もう暫くこの格好でも良いなぁって思った。
アイツがシャワーから出てくるまであと少し。
END