銀魂小説
□大切だと気付くころは
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「かぐ………ら………」
手を伸ばす先、
瓦礫に埋もれているのは
赤いチャイナ服をまとった少女、
神楽。
「か……ぐら……返事……しろ……」
銀時が手を伸ばす。
でも、自分も瓦礫が上に乗っていて動けない。
どうやら左手は折れているらしく、力をいれようとすると鋭く痛む。
「くっ……そぉ…!」
最後の力を振り絞り、瓦礫をどける。
そして足を引きずりながら神楽のもとへ駆け寄った。
「か…ぐら…………神楽っ!」
何度も呼び掛け、何度も身体を揺らす。
しかし、銀時の呼び掛けに反応することはなかった。
身体は傷だらけだが、瞳を閉じている姿はまるで眠っているよう。
銀時は神楽の頬を優しく撫でる。
「お前が……死ぬはずねぇ…だろ?だって……夜兎族じゃ…ねぇか……」
しかし神楽は瞳を開けない。
当然だ。
心臓はもう………動いていないんだから。
「なぁ………返事しろよ…神楽っ………」
涙が流れる。
額から溢れる血と共に。
「……っ…くそ!……くそぉっ…!」
守れなかった。
また………大切なものが、
銀時の腕から滑り落ちる。