いちごぱふぇ
□貰えないものは仕方ない
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バレンタイン?
そんな行事、もう諦めた。
貰えないもんは仕方ねぇんだ。
しかし、そうは思っても諦められないのが、哀れな『男』という生き物なのだ。
今年も同様、家の中では物々しい雰囲気を漂わせた新八と銀時がいた。
「バレンタイン?そ、そんなもん…もう興味ないよなぁ、新八!」
そんな銀時の台詞に新八も引き攣った笑みで答える。
「そ、そうですよ!バレンタイン?んだよそれ!知らねぇよそんなん!」
繕った強気な態度。
神楽はやれやれと肩を竦めながら、定春を撫でる。
「銀さんもいい歳だから。子供みたいにギャーギャー騒ぐ歳じゃないから。し、新八ぃ、お前は気にしたほうがいーんじゃねぇの?」
「な、何言ってんすか!ぼ、僕はいーんですよ!そこらの軟弱な男共と一緒にしないでください!バレンタインなんかで騒いじゃうような男じゃないですから、僕!!」
((こいつらただの馬鹿ネ……))
ふんっと鼻で笑う神楽。
無理もない。
このやり取りは今日で3回目。
もう既に繰り返されている会話内容なのだ。
朝に1度、昼に1度。
そしてまた繰り返された。
本人たちもあまりの必死さに気付いていないのだろう。