文
□愛と鞭
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ふんふ〜ん
この間抜けな鼻歌は…
「あ」
「セインっ」
「ふんふ…」
さり気なく(?)逃げようとするセインの肩を
ガシッ
「…逃げれると思うなよ?」
「に…逃げようとなんてするわけないじゃないかぁ〜ケント君」
「先程リンディス様から命じられた事はもう済んだのだな?」
目を逸らさずに顔をケントに接近させるセイン。
「な…何だ?」
「んー」
「!!馬鹿っ」
キスを迫られ殴ろうとするケントの手をセインはいとも簡単に受け止める。
「キスしてほしいからお前は俺にうるさく言うんだよな?」
違う!!
「お前はー、女性方に負けず劣らず綺麗な顔してるもんなぁ。あぁ俺って罪な男」
チュッ
「―――ッ!!?///」
ふんふ〜ん(逃)
またほっぺにキスされたケントは以前された時に感じた事を嫌でも思い出してしまった。
あぁ…あの時もあいつを追いかけていて不意をつかれてキスされたんだったな…頬に。
その時からか…あいつを見つけると胸が高鳴って苦しくて息ができない位…
そこまで思ってケントは赤に染まった頬を更に赤く染め、気がついた。
ま…まさか…恋……!?セインは男だぞ!?
やっと気づいたか馬鹿者(by管理人)
ケントは城内に戻ってからもセインの事をつい目で追ってしまっていた。
「…ケント?」
「―――!!?」
いきなり目の前に現れたたった今まで心に想い描いていた彼にケントはものすごく驚いた。
「何だよ。そんなに驚く必要ないだろー」
「な…何か用か?」
「ん?あ、リンディス様に言われてた事ちゃんと終わらせたからな。」
「そ…そうか」
それだけ言うのが精一杯だった。
ケントはその場から即逃げた。
…変なケント。何で逃げるんだよ…?
そう、きっとセインもケントの事が好きだ。でも本人は自覚が無いようで。
ケントはと言うと
「はぁぁ…///」
何で…何でこんな気持ちに私だけがならないといけないんだっ!?セインは…女好きで…私の事も綺麗と言うがそれはただ私の機嫌をとるためだけで…
と騎士用の更衣室で独り暗くなっていた。