思いつくままの妄想小説2

□2人の愛ランド
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「なぁ、まだ怒ってンの?」
何も言わない俺に、顔色をうかがうように上目遣いで聞いてくる。
眉が下がり、不安そうな顔で。


・・・くそぉ、可愛い。

「も、いい。今更お前に何言っても無駄だしな」

そういうと、ぱぁっと笑顔が戻る。
それはそれは嬉しそうに。


「それにしても、まさか山本が女の子になっちゃうなんてね」
「俺も初めてなったときは焦ったけどなー」
「え?今日が初めてじゃないの?」
「あぁ、こないだ薬間違えてさー」

あははとアイス片手に十代目と笑いながら。
そんなに和やかなムードで話す内容なのか?これ。


「じゃぁ、あの山本も戻る方法ってやっぱり・・・?」
「んにゃ?俺、獄寺のちゅーで戻ったんだよな」
「へぇ、お姫様のキスは現代でも有効って事か?」

跳ね馬の奴まで話に加わってきた。
目の前で平然と交わされる会話に、顔が熱くなってくる。


「え?王子様じゃなかったでしたっけ?」
「ツナが言ってるのは眠り姫とか、白雪姫の王子様の目覚めのキスだろ?
俺が言ってるのは"カエル王子"。
カエルにされた王子様が愛する姫のキスで元に戻れたって奴。
漫画だけじゃなくて少しは本も読めよなー」
「・・・今更童話読ませてどうすんだよ」


自慢げな跳ね馬の言葉に思わず突っ込む。


「なぁなぁ、獄寺。せっかくこんな綺麗な海に来てるんだぜ?
泳ごーよぉ」

俺のパーカーの袖を引っ張りながら、いつも以上のお強請りモード。
可愛いから止めろっての。

「・・・一人で行けよ」
と言って、ホントに一人で行かれても困るんだけどな。
俺の答えに、シュンと俯く山本はまるでご主人様に叱られたワンコのようで。
絆されそうになる自分を必死で止める。

一応ココは、ディーノのプライベートビーチだから他の奴はいないけれど。


「ごくでらぁ・・・・」
「行ってあげなよ、獄寺君」

山本のお強請りモードに絆されたのは俺だけじゃなかったようだ。
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