山獄小説
□ちょこっとLOVE
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「安心して。最近の音も悪くない。でも、今日のは最悪。
それにそんな顔しながら弾くのは止めてくれる?噛み殺したくなるから」
物騒なことを平然と言ってくれる。
一体どんな顔をしていたというのだろう。
「愛されているみたいじゃない。
何をそんなに不安そうにしているの?」
「べ、別にそんなつもりは・・・」
「そう。それなら次弾くときの音はもう少しまともだね。
今度そんな音を出していたら二度と弾かせないから」
そう言って出て行った。
分かりづらいが、雲雀なりに心配してくれているらしい。
初めてあったときの印象は最悪だった。
2度目の時には、沢田の親友と言うこともあり、少しだけ見直した。
3度目で、自分でも分からない感情が芽生え、それに向き合うヒマもなく告白された。
あれから彼の言う"友達付き合い"が始まっている。
彼の練習や試合を見に行ったり、時には沢田も交えて遊びに行ったり。
会えば会うほど、自分の中での彼の存在が大きくなっていく。
・・・そう、沢田の存在が掠れていくほどに。