山獄小説

□ちょこっとLOVE
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並盛中、本日の試合相手は強豪と呼ぶに相応しいチームだった。
特に有名なのは投手で、噂ではプロのスカウトが目を付けているとかいないとか・・・

しかし、こちらのエースも負けてはいない。
両投手とも一歩も引かず、三振の山を築き上げていく。
当然の事ながら、スコアボードには0が続いていった。


ようやく試合が動いた時には既に9回。
味方のエラーで1点を先行されてしまった並盛は、2アウト1塁で山本に打順が回った。

「山本ー!頼むぞ!!」
チームメイトに手を振ることで答え、相手ピッチャーを見据えた。

滅多に見ることのない、山本の真剣な顔。
野球部の試合にギャラリーが多いのは、山本のそんな顔を見たいという生徒の為に他ならない。


しかし山本にはどうでもイイコトに違いない。
今の彼の頭には、ボールを打つことしかないからだ。



最後の打者と言うことで油断したのか、それとも疲れか。
甘く入った変化球を見逃さなかった山本の一振りで試合が決まった。

劇的な逆転ホームラン。



その時の山本の輝くような笑顔は、ますますファンを増やしてしまったようだった。


そして密やかにそれを見ていた獄寺も、そのうちの一人となってしまった・・・のかもしれない。
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