山獄小説
□ちょこっとLOVE
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壮絶な投手戦だったということは、それに掛かった試合時間も当たり前だが短くなる。
オマケに劇的な逆転勝ちだったため、それに対するミーティングも短くなった。
本日の野球部の予定がすべて終わってしまったというのにまだ11時を回ったばかりだった。
「・・・弁当どうする?」
「家で食べるってのも味気ないよなぁ」
「どーせなら裏山で紅葉見ながらとか?」
「野郎ばっかでかよ」
「しょーがねぇじゃん!うち、マネージャーいねぇんだから」
ワイワイと騒いでいたチームメイトが、ふと山本と目があった。
「そーだ!山本!!お前がいれば女の子達来てくれんじゃねぇ?」
「でも俺、弁当親父が届けてくれることになってたし。
試合終わったの知れば、持って帰っちゃったかも」
「コンビニとかで買えばいいだろ?」
「でもなぁ・・・」
ふと外に目を向けると、日本では滅多に見ない、しかし山本にとっては見慣れた銀の髪。
「わりぃ!俺やっぱパスな!!」
そう言うと、その髪の持ち主の所に走っていった。