山獄小説

□ちょこっとLOVE
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「最近隼人、綺麗になったよね」


突然のみづきの言葉に、弁当箱の包みを解こうとした手を止めた。

「そりゃ隼人って、元々可愛いけどさ。最近色っぽくなったっていうか、女っぽくなったていうか」
「え・・・と?」
「そのお弁当の作り主のお陰かなー?」


弁当箱にキチンと納められたサンドウィッチ。
彩りよく並べられたそれは、どう見ても市販品に見えない。

「だ、だって朝練の時の早ベン用の序でに俺のも作ったからって」
「男の子が自分で作るなら普通おにぎりだよ、作るの手間ないし。
そんな凝ったモンわざわざ作る訳無いって」


玉子サンドにツナサンド。野菜サンド等々。
おかずもフライドチキンやサラダなど。
栄養バランスも考えて作られているであろうそれは、確かに"腹の足し"目的で作られたとは思えない。



「普通は逆だよねー」
「・・・悪かったな」


料理が苦手なことは自覚している。
恐らく彼の方が余程美味いモノを作るだろう。

先日見た試合で、次々と渡されていた差し入れと称したお菓子類。
甘い物は余り好まない筈の彼が、嬉しそうに受け取っていた。



やはり男という物は手作りの物に弱いのだろうか・・・?

みづきに気付かれないように、コッソリと溜息をついた。
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