山獄小説
□真夏の夜の夢
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久しぶりのキャッチボール。
流石に今では加減することが出来るようになったけれど。
「相変わらずだな。野球馬鹿」
懐かしいその呼び名と、少し低めの心地よい声。
「ママっ!」
「こら瑠璃、勝手に行っちゃダメって何度言ったら分かるんだ?」
「だってママ遅いんだもん。武帰っちゃうかもしれなかったじゃん」
プクっと頬を膨らます様は贔屓目なしでも可愛らしい。
「悪いな、山本。せっかくの休みなのに」
「いや?瑠璃とデートできるんなら大歓迎だぜ」
親友の右腕を目指していた獄寺は、今ではその人の生涯のパートナーだ。
「今日何か予定あるか?」
「いや?別に」
「一緒に飯でも食わないかって十代目が・・・」
「あのね、あのね。瑠璃がご飯作るんだよ!来てくれるでしょ?」
「瑠璃の手料理じゃ逃せないな。そうだ、一緒に作るか?」
「きゃーっ!やったぁ!」
「お、おい。山本」
「獄寺も、久しぶりだろ?俺の手料理」
態とそう言ってやると、困ったように目を伏せた。
あのころのお前は俺のことが好きだったはずなのに。
それとも、ツナが笹川のことが好きだと思っていたから俺と・・・?
それでも、俺は・・・・