山獄小説
□真夏の夜の夢
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俺と瑠璃が作った料理が所狭しと並んだテーブル。
滅多にないだろう家族揃っての夕食に、果たして俺がいても良いのだろうか。
そんな疑問も、瑠璃は吹き飛ばしてくれる。
「武もうちの子なら良いのに」
「こんなデカイ息子なんていらねぇぞ?」
そんな獄寺の言葉に苦笑した。
「じゃぁ瑠璃、俺の嫁さんになるか?」
「武のお嫁さん?なるなる!いつ?瑠璃が何歳になったらお嫁さんになれる?」
「16歳になったら」
「約束だよ!絶対だよ!うわきしたらダメだからね」
たった6歳の女の子が何ともませた物言いをしてくれる。
獄寺は呆れたような顔をしているし、ツナは相変わらずニコニコと笑っている。
・・・本気にしていないんだろうな。
こんな幼い少女にプロポーズなんて。
でも、俺は・・・
「瑠璃。もう遅いから寝なさい」
「武は?帰っちゃうの?」
「大丈夫。泊まっていくから」
「え?ツナ?」
「イイだろ?明日も休みだし。久しぶりに一緒に飲もうよ」
「武!瑠璃と一緒のベッド!」
「じゃ、一緒に寝るか?」
嬉しそうな少女に手を引かれ、普段よりずっと早い時間にベッドに潜り込んだ。
久しぶりに暖かい体温を感じながら。