山獄小説

□真夏の夜の夢
4ページ/8ページ

俺と瑠璃が作った料理が所狭しと並んだテーブル。
滅多にないだろう家族揃っての夕食に、果たして俺がいても良いのだろうか。
そんな疑問も、瑠璃は吹き飛ばしてくれる。


「武もうちの子なら良いのに」
「こんなデカイ息子なんていらねぇぞ?」
そんな獄寺の言葉に苦笑した。

「じゃぁ瑠璃、俺の嫁さんになるか?」
「武のお嫁さん?なるなる!いつ?瑠璃が何歳になったらお嫁さんになれる?」
「16歳になったら」
「約束だよ!絶対だよ!うわきしたらダメだからね」

たった6歳の女の子が何ともませた物言いをしてくれる。

獄寺は呆れたような顔をしているし、ツナは相変わらずニコニコと笑っている。



・・・本気にしていないんだろうな。
こんな幼い少女にプロポーズなんて。

でも、俺は・・・


「瑠璃。もう遅いから寝なさい」
「武は?帰っちゃうの?」
「大丈夫。泊まっていくから」
「え?ツナ?」
「イイだろ?明日も休みだし。久しぶりに一緒に飲もうよ」
「武!瑠璃と一緒のベッド!」
「じゃ、一緒に寝るか?」

嬉しそうな少女に手を引かれ、普段よりずっと早い時間にベッドに潜り込んだ。
久しぶりに暖かい体温を感じながら。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ